体調不良や家庭の事情で3ヶ月程度の休職を経験した方にとって、転職活動における最大の不安は「休職していた事実が転職先にバレるのでは?」という点でしょう。
結論から言えば、3ヶ月以上の休職は源泉徴収票や住民税から判明する可能性があるものの、適切な対策を取ることでリスクを最小限に抑えられます。
本記事では、休職歴がバレる具体的なケースと実践的な対策、さらに万が一バレた場合の対処法まで、人事経験者の視点も交えながら詳しく解説します。
3ヶ月休職が転職先にバレる可能性は実際どのくらい?
休職期間とバレるリスクの関係性
休職期間が転職先に発覚する可能性は、その長さによって大きく変わってきます。
1〜2ヶ月程度の短期休職であれば、有給消化や引き継ぎ期間と重なるため、給与明細や源泉徴収票を見ても不自然さが目立ちません。実際、この程度の期間であればバレる可能性は極めて低いと言えるでしょう。
一方で3ヶ月以上の休職になると話は変わります。源泉徴収票に記載される年間給与総額が明らかに少なくなり、転職先の人事担当者が「給与の空白期間があるのでは?」と疑問を持つ可能性が高まります。
実際、人事担当者の多くは年収ベースで月割計算をしており、3ヶ月分の給与が欠けていると「前職の申告年収と実際の支給額に大きな差がある」と気づくわけです。
ただし、バレたからといって必ずしも内定取り消しになるわけではありません。重要なのは現在は働ける状態にあること、そして誠実な対応を取ることなんですね。

なぜ「3ヶ月」が境界線になるのか
3ヶ月という期間が重要な境界線になる理由は、主に以下の3つです。
①給与計算上の明確な差異
年収500万円の場合、月給は約41.6万円。3ヶ月分で約125万円の差が生じます。これは源泉徴収票を見ればすぐに分かる金額です。
②社会保険料の支払い状況
休職中も社会保険料は発生しますが、給与の支払いがない場合は健康保険組合への支払い方法が変わります。3ヶ月以上の休職では、この変化が記録として残りやすくなります。
③傷病手当金の支給開始条件
傷病手当金は連続3日間の待機期間後、4日目から支給されます。3ヶ月間の休職であれば、ほぼ確実に傷病手当金を受給していることになり、後日の申請時に履歴として残る可能性があります。
このように、3ヶ月という期間は単なる「なんとなく長い」という感覚的な話ではなく、給与計算や社会保険の仕組み上、明確な痕跡が残りやすい期間なのです。
休職がバレる5つの具体的なケース
①源泉徴収票から判明するケース【最も注意すべき】
転職後、最もリスクが高いのが源泉徴収票の提出です。
源泉徴収票には以下の情報が記載されています:
- その年の給与総額
- 支払った所得税額
- 前職の会社名
例えば、前職で「年収500万円」と伝えていたのに、実際の源泉徴収票には「年収350万円」と記載されていたら、人事担当者は即座に「3ヶ月程度給与が出ていない期間があったのでは?」と気づきます。
人事担当者の視点
実は、人事担当者は源泉徴収票を見る際、以下のような計算をしています:
申告年収 - 源泉徴収票の支給額 = 約150万円の差
→ 150万円 ÷ (500万円 ÷ 12ヶ月) ≒ 3.6ヶ月分
→ 「3ヶ月以上の無給期間があったな」このように、人事担当者は給与計算のプロですから、数字の違和感にはすぐに気づくわけです。
ただし、源泉徴収票から分かるのは「給与の空白期間があった」という事実だけで、休職理由までは分かりません。介護や家族の事情、会社都合の一時帰休など、さまざまな可能性があるため、必ずしも「メンタル不調での休職」と決めつけられるわけではないんですね。
②住民税の納税額から推測されるケース
住民税は前年の所得に基づいて計算され、会社の給与から天引き(特別徴収)される仕組みです。
転職先で給与明細を見た際、住民税の額が異常に少ないと「前年の所得が少なかった=休職していた可能性」と推測されることがあります。
実際どのくらいバレやすい?
実は、住民税経由でバレる可能性は源泉徴収票よりも低いです。理由は以下の通り:
- 経理担当しか住民税の金額を詳しく見ない
- 経理担当は従業員の前職年収を正確には知らない
- 個人情報なので、わざわざ現場上司に報告しない
ただし、小規模な会社で上司が経理も兼ねている場合や、たまたま給与明細を見られた場合などは注意が必要ですね。
③傷病手当金の受給履歴から発覚
メンタル不調や病気で休職していた場合、傷病手当金を受給していたケースが多いでしょう。
傷病手当金には以下のルールがあります:
- 同じ傷病では、支給開始日から通算1年6ヶ月が上限
- 転職後も同じ傷病で申請すると、前回の受給歴が確認される
つまり、転職先で再度同じ病気で休職し、傷病手当金を申請すると、健康保険組合を通じて「前職での受給履歴」が発覚する可能性があります。
バレないためには
- 転職先では同じ病名での傷病手当金申請を避ける
- 完全に回復してから転職活動を行う
- 再発リスクを最小限にする生活習慣を整える
④リファレンスチェックでの発覚
外資系企業や一部の日系大手企業では、リファレンスチェック(前職への照会)を実施することがあります。
リファレンスチェックでは、前職の上司や人事に以下のような質問がされます:
- 在籍期間
- 職務内容
- 勤務態度
- 退職理由
このとき、「休職期間の有無」について聞かれることもあり、前職が正直に答えてしまう可能性はゼロではありません。
ただし、病歴は個人情報保護法で守られているため、詳細な休職理由を伝えることは違法です。前職が伝えられるのは「休職期間があったかどうか」という事実のみとなります。
⑤SNSや人脈から漏れるケース
意外と盲点なのが、SNSや人脈経由での発覚です。
よくあるパターン:
- LinkedInやWantedlyで転職活動の痕跡が残っている
- Twitterで休職について投稿していた
- 前職の同僚と転職先の社員が知り合いだった
- 業界が狭く、噂が広まりやすい環境だった
特にIT業界やコンサル業界など、人の移動が激しく横のつながりが強い業界では、こうした経路での発覚リスクが高まります。
対策としては:
- SNSのプライバシー設定を見直す
- 休職に関する投稿は削除または非公開にする
- 転職活動中はSNS上での活動を控えめにする
源泉徴収票でバレないための実践的対策
源泉徴収票の提出を回避する方法
最もシンプルで効果的な対策は、源泉徴収票を転職先に提出しないことです。
「えっ、提出しなくていいの?」と驚かれるかもしれませんが、実は源泉徴収票の提出は年末調整を会社で行う場合にのみ必要な書類です。
つまり、自分で確定申告を行えば、転職先に源泉徴収票を提出する必要はなくなるんですね。
人事から提出を求められたら?
「自分で確定申告をするので、源泉徴収票は提出しません」と伝えればOKです。
もし理由を聞かれたら:
- 「前職で副業をしていたため、確定申告が必要です」
- 「株式投資の損益があり、確定申告で調整します」
- 「ふるさと納税の関係で、自分で確定申告します」
このように、自然な理由を伝えれば問題ありません。副業が禁止されている会社の場合は、「現在は副業していませんが、前職での収入があったため」と補足すれば大丈夫です。
自分で確定申告する場合の具体的手順
確定申告と聞くと難しそうに感じますが、実は意外と簡単です。以下の手順で進めましょう。
Step1: 必要書類を準備する
- 前職の源泉徴収票
- 転職先の源泉徴収票(転職した年の分)
- マイナンバーカード(またはマイナンバー通知カード+身分証明書)
Step2: 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にアクセス
国税庁のウェブサイトから、誰でも無料で確定申告書を作成できます。画面の指示に従って入力するだけなので、初めての方でも30分〜1時間程度で完成します。
Step3: 提出方法を選ぶ
- e-Tax(電子申告):マイナンバーカードとICカードリーダーがあればネット完結
- 郵送:作成した申告書を印刷して税務署に郵送
- 税務署に直接持参:分からないことがあれば職員に質問できる
Step4: 確定申告の期間(毎年2月16日〜3月15日)に提出
期限を過ぎると延滞税が発生するため、早めに準備しましょう。
初めてで不安な場合は?
税務署で職員に相談しながら書類を作成するのが最も確実です。確定申告の時期は税務署が混雑しますが、平日の午前中なら比較的空いています。必要書類を持って「初めてなので教えてください」と伝えれば、丁寧に教えてもらえますよ。
確定申告を選ぶ際の注意点
確定申告を選択する場合、いくつか注意すべきポイントがあります。
①期限を守る
確定申告の期限(3月15日)を過ぎると、本来の納税額に加えて「延滞税」が発生します。また、還付金を受け取れる場合でも、申告が遅れると振込が遅くなるため、早めの対応が重要です。
②翌年以降も自分で申告する必要がある?
いいえ、転職した年だけ確定申告をすれば、翌年からは転職先で通常通り年末調整を受けられます。一度確定申告したからといって、ずっと自分で申告し続ける必要はありません。
③医療費控除やふるさと納税も一緒に申請できる
確定申告をする際は、医療費控除(年間10万円以上)やふるさと納税の寄付金控除も同時に申請できます。これらを活用すれば、税金の還付を受けられる可能性もありますよ。
面接で休職について聞かれたときの答え方
正直に伝えるべきケースと伏せてよいケース
面接で休職について聞かれた場合、どこまで正直に話すべきかは状況によって異なります。
伏せてよいケース:
- 面接官から直接「休職歴の有無」を聞かれていない
- すでに完全に回復しており、就労に支障がない
- 履歴書や職務経歴書に空白期間として記載していない
このような場合、わざわざ自分から休職の事実を伝える必要はありません。
正直に伝えるべきケース:
- 面接で「過去に休職したことはありますか?」と直接質問された
- 健康状態に関する申告書の提出を求められた
- 履歴書の経歴に不自然な空白がある
特に直接質問された場合に嘘をつくと、後々発覚したときに「虚偽申告」として内定取り消しや懲戒解雇のリスクがあるため、正直に答えましょう。
伝え方のポイント:
休職の事実を伝える際は、以下の3点を意識してください:
- 過去のことであることを明確にする
- 現在は完全に回復していることを強調する
- 前向きな転職理由につなげる
好印象を与える回答例【パターン別】
ここでは、休職理由別に実践的な回答例を紹介します。ご自身の状況に合わせてアレンジしてみてください。
【パターン①】メンタル不調で休職したケース
「前職では業務量の多さと長時間労働が続き、一時的に心身のバランスを崩してしまいました。医師の指導のもと3ヶ月間しっかりと療養を行い、現在は完全に回復しております。
この経験を通じて、自分の働き方や仕事との向き合い方を見つめ直す機会になりました。今後は無理をせず、長期的に安定して働ける環境で力を発揮したいと考え、御社を志望いたしました。」
【パターン②】身体的な病気で休職したケース
「前職在職中に持病が悪化し、医師から療養を勧められたため3ヶ月間休職いたしました。現在は治療も終了し、医師からも就労許可が出ております。定期的な通院も必要なく、業務に支障はございません。
この期間に自分のキャリアを見つめ直し、より自分の強みを活かせる環境で働きたいと考えるようになりました。御社の事業内容に強く共感し、ぜひ貢献したいと考えております。」
【パターン③】家族の介護で休職したケース
「家族の介護が必要となり、3ヶ月間休職して対応しておりました。現在は介護体制が整い、フルタイムでの勤務が可能な状態です。
休職中にキャリアについて改めて考える時間を持て、これまでの経験をより活かせる環境で長期的に働きたいと思うようになりました。御社の理念に深く共感し、ぜひ力を発揮したいと考えております。」
共通のポイント:
どのパターンでも、以下の要素を含めることが重要です:
- 休職は「過去のこと」であること
- 現在は「問題なく働ける」こと
- 休職をネガティブに捉えず「成長の機会」として前向きに語る
絶対に避けるべきNG回答
面接での回答で、以下のような言い方は絶対に避けましょう。
❌ NG例1:曖昧な表現
「ちょっと体調を崩しまして…まあ、今は大丈夫だと思います」
→ 「思います」という曖昧な表現は、面接官に不安を与えます。「現在は完全に回復しております」と断言しましょう。
❌ NG例2:前職への批判
「前の会社がブラックで、パワハラもあって精神的に参ってしまいました」
→ たとえ事実であっても、前職の批判は避けるべきです。「環境が自分に合わなかった」程度にとどめ、転職先での前向きな姿勢を示しましょう。
❌ NG例3:詳しく語りすぎる
「うつ病と診断されて、抗うつ剤を飲んでいて…」
→ 病名や治療の詳細まで話す必要はありません。聞かれない限り、シンプルに「心身の不調」程度の表現でOKです。
❌ NG例4:嘘をつく
面接官:「休職したことはありますか?」
あなた:「いいえ、ありません」(実際は3ヶ月休職していた)
→ 直接質問された場合の虚偽は、後々発覚したときに最も問題になります。聞かれたら正直に、ただし前向きに答えましょう。
休職がバレてしまった場合の対処法
内定取り消しになる可能性があるケース
万が一、休職していた事実が転職先に発覚した場合、以下のケースでは内定取り消しや解雇のリスクがあります。
①面接で虚偽の申告をしていた場合
「休職したことはありますか?」という質問に対して「いいえ」と答えていた場合、これは経歴詐称とみなされる可能性があります。多くの企業の就業規則には「入社時に虚偽申告があった場合、懲戒解雇の対象となる」という条項が含まれています。
②休職中に転職活動をしていた場合
休職は「復職を前提とした制度」であるため、休職中に転職活動をしていたことが発覚すると、特に傷病手当金を受給していた場合は「就労可能だったのでは?」と疑われます。これが悪質と判断されると、内定取り消しの理由になり得ます。
③入社後すぐに再度休職した場合
休職していた事実を隠して入社したものの、すぐに同じ理由で再度休職することになった場合、「最初から働ける状態ではなかった」と判断され、試用期間中の契約解除や解雇につながる可能性があります。
ただし、必ず内定取り消しになるわけではない
重要なのは、「現在働ける状態にあるか」「業務で成果を出せているか」です。休職歴が発覚しても、あなたが職場で高いパフォーマンスを発揮していれば、会社側も解雇まで踏み切らないケースが多いんですね。
バレた時の誠実な説明の仕方
もし休職していた事実が転職後に発覚した場合、どのように説明すればよいのでしょうか。
Step1:嘘を重ねない
バレた時点で、さらに嘘を重ねるのは最悪の対応です。「実は…」と正直に状況を説明しましょう。
Step2:事実を簡潔に伝える
「前職で体調を崩し、3ヶ月間休職しておりました。現在は完全に回復しており、業務に支障はございません。お伝えしておらず、申し訳ございませんでした。」
このように、事実を簡潔に、そして謝罪の意を示すことが重要です。
Step3:現在の状態を強調する
「医師からも就労許可をいただいており、現在は通院も必要ありません。今後長期的に貢献していく所存です。」
過去の休職よりも、「今」と「これから」に焦点を当てた説明を心がけましょう。
Step4:業務での貢献を示す
最も効果的なのは、言葉ではなく「実績」で示すことです。入社後、しっかりと成果を出し続けることで、休職歴への懸念を払拭できます。
実際の説明例
「上司、少しお時間をいただけますでしょうか。実は前職で体調を崩し、3ヶ月間休職していた期間がございました。現在は完全に回復しており、業務に支障は一切ございませんが、お伝えしていなかったことをお詫び申し上げます。
医師からも就労許可をいただいており、今後も長期的に貢献していく所存です。何かご懸念がございましたら、遠慮なくお申し付けください。」
実際にリカバリーできた事例
ここでは、休職歴が発覚しながらも、その後リカバリーして活躍している実際の事例を紹介します(個人情報保護のため、一部情報を変更しています)。
事例①:IT業界・28歳男性のケース
前職でうつ病により3ヶ月休職。復職せずに転職活動を行い、Web系企業に内定。入社後2ヶ月目に源泉徴収票の提出を求められ、給与額から休職が発覚。
対応:
- 直属の上司に正直に状況を説明
- 医師の診断書を提出し、現在は就労可能であることを証明
- その後3ヶ月間、誰よりも早く出社し、高いパフォーマンスを発揮
結果:
問題なく本採用となり、現在も同社で活躍中。上司からの信頼も厚く、1年後にはリーダーに昇格。
事例②:製造業・32歳女性のケース
持病の悪化により2ヶ月休職。転職後、SNSの投稿から同僚に休職歴を知られてしまう。
対応:
- 同僚に対して正直に説明(「持病があったが、現在は治療済み」)
- 人事部にも自主的に報告し、誠実な対応を取る
- 業務では積極的にコミュニケーションを取り、チームに貢献
結果:
むしろ「正直に話してくれた」ことで信頼が深まり、職場の人間関係も良好に。現在も安定して勤務中。
共通点:何が成功のポイントだった?
これらの事例から見えてくる成功のポイントは:
- 発覚後すぐに正直に説明した
- 現在は働ける状態であることを証明した(医師の診断書など)
- 言葉ではなく、業務での成果で信頼を取り戻した
- 誠実な態度を貫き、嘘を重ねなかった
3ヶ月休職から転職を成功させるための5つのステップ
Step1:休職中の過ごし方と準備
休職期間をどう過ごすかが、その後の転職活動の成否を分けます。
①しっかりと療養する
最も重要なのは、焦らずにしっかりと休むことです。「早く転職しなきゃ」と焦って無理に活動を始めると、体調が悪化し、結果的に転職活動が長引くことになります。
医師の指示に従い、十分な休息を取りましょう。
②スキルアップの時間として活用する
体調が安定してきたら、資格取得や学習に時間を使うのも有効です。休職期間を「ブランク」ではなく「自己投資の期間」として説明できるようになります。
例:
- オンライン講座で新しいスキルを習得
- 業界に関する書籍を読み、知識を深める
- 資格試験に挑戦する
③転職の準備を進める
体調が回復してきたら、少しずつ転職準備を始めましょう:
- 職務経歴書の作成
- 転職サイトへの登録
- 業界研究、企業研究
ただし、傷病手当金を受給している場合は、「就労不能」が支給条件のため、積極的な転職活動は控えめにする必要があります。
Step2:復職せずに転職する場合の手続き
休職中に転職先が決まった場合、復職せずにそのまま退職することは法的に問題ありません。
退職の手順:
- 上司または人事に退職の意思を伝える
- 電話やメールで連絡可能
- 「体調を考慮し、復職ではなく退職を決断しました」と簡潔に伝える
- 退職届を提出する
- 郵送でも可
- 退職日は双方で調整(法律上は申し出から2週間後に退職可能)
- 必要書類を受け取る
- 離職票
- 源泉徴収票
- 健康保険資格喪失証明書
- 社会保険や年金の手続き
- 国民健康保険への切り替え(転職先の入社まで期間がある場合)
- 国民年金への変更手続き
傷病手当金は退職後も受給可能
条件を満たしていれば、退職後も傷病手当金を受給し続けられます:
- 退職日時点で傷病手当金を受給中(または受給資格がある)
- 健康保険の被保険者期間が1年以上ある
- 退職後も治療を継続しており、就労不能の状態
ただし、転職先で働き始めたら、その時点で「就労不能」ではなくなるため、受給は終了します。
Step3:転職活動のタイミング
転職活動を始める最適なタイミングは、医師から就労許可が出てからです。
理由:
- 面接で「現在は働ける状態です」と自信を持って言える
- 内定後すぐに入社できる
- 再発のリスクが低い
焦って体調が完全に回復していない段階で転職すると、入社後に再度休職することになり、キャリアに大きなマイナスとなります。
転職活動のスケジュール目安:
| 時期 | やること |
|---|---|
| 休職1ヶ月目 | しっかり療養。焦らない。 |
| 休職2ヶ月目 | 体調が安定してきたら、職務経歴書の準備開始 |
| 休職3ヶ月目 | 医師の許可を得てから本格的に転職活動開始 |
| 休職終了後 | 内定獲得、入社準備 |
Step4:応募書類の作成ポイント
履歴書と職務経歴書の作成では、以下のポイントに注意しましょう。
①休職期間をどう書くか
履歴書の職歴欄に「休職」と明記する必要はありません。在籍期間を正確に記載すればOKです。
例:
2022年4月 〜 2024年12月 株式会社〇〇(在職中)
2025年1月 退職このように、休職していた事実は書かなくても問題ありません。
②空白期間がある場合の説明
もし退職後に転職まで期間が空いている場合は、職務経歴書の備考欄に簡単に説明を加えます。
例:
「2024年12月〜2025年3月:療養および次のキャリアステップに向けた準備期間(現在は完全に回復)」
③アピールポイントを明確に
休職歴に目が行かないよう、職務経歴書では実績やスキルを具体的に記載しましょう:
- 売上向上に貢献した具体的な数字
- プロジェクトでの役割と成果
- 習得したスキルや資格
Step5:内定後の入社までの流れ
内定を獲得したら、入社までに以下の準備を進めましょう。
①前職の退職手続きを完了させる
- 離職票を受け取る
- 源泉徴収票を受け取る(自分で確定申告する場合も必要)
- 健康保険証を返却する
②社会保険の切り替え
転職先への入社まで期間が空く場合:
- 国民健康保険への加入
- 国民年金への切り替え
③健康管理を継続
内定から入社までの期間も、引き続き健康管理を徹底しましょう:
- 規則正しい生活リズムを保つ
- 必要であれば通院を継続
- ストレス管理に気を配る
④入社前の準備
- 入社に必要な書類を準備(マイナンバーカード、年金手帳など)
- 新しい職場について調べておく
- 必要に応じてスキルの復習
よくある質問Q&A
Q1:休職中に転職活動するのは違法?
A:違法ではありませんが、注意が必要です。
休職中の転職活動自体は法律で禁止されているわけではありません。ただし、以下の点に注意してください:
- 傷病手当金を受給している場合:「就労不能」が受給条件のため、積極的な転職活動は矛盾する可能性があります
- 就業規則の確認:会社によっては休職中の転職活動を制限している場合があります
- 前職との信頼関係:休職は「復職を前提」とした制度であるため、不誠実と受け取られる可能性があります
最も安全なのは、医師から就労許可が出てから本格的に活動を始める、または退職してから転職活動を行うことです。
Q2:履歴書に休職期間を書く必要はある?
A:書く必要はありません。
履歴書の職歴欄には「在籍期間」を記載すれば十分です。休職していた事実まで書く義務はありません。
ただし、以下のケースでは何らかの説明があった方が自然です:
- 退職後、転職まで6ヶ月以上の空白期間がある
- 在籍期間が短い(1年未満など)
- 転職回数が多い
このような場合は、職務経歴書の備考欄に「療養期間(現在は回復)」と簡潔に記載するのも一つの方法です。
Q3:転職エージェントに休職歴を伝えるべき?
A:伝えた方がスムーズです。
転職エージェントのキャリアアドバイザーには、守秘義務があります。正直に状況を伝えることで、以下のメリットがあります:
- あなたの状況に合った求人を紹介してもらえる
- 面接対策で休職歴の伝え方をアドバイスしてもらえる
- 企業との交渉を代わりに行ってもらえる
ただし、エージェントから企業に休職歴が伝えられることは基本的にありません(本人の許可なく個人情報を提供することは違法です)。
Q4:メンタルヘルスでの休職は特に不利?
A:以前ほど不利ではなくなってきています。
近年、メンタルヘルスへの理解が進み、うつ病や適応障害での休職歴があっても採用する企業が増えています。
重要なのは:
- 現在は完全に回復していること
- 医師から就労許可が出ていること
- 再発防止策を取っていること
これらを面接で明確に伝えられれば、メンタルヘルス休職だからといって必ずしも不利になるわけではありません。
また、ワークライフバランスを重視する企業や、メンタルヘルスケアに力を入れている企業では、むしろ「自分の体調管理ができる人」として評価されることもあります。
まとめ:3ヶ月休職でも転職は可能、ポイントは誠実な対応
ここまで、3ヶ月の休職歴が転職先にバレる可能性と、その対策について詳しく解説してきました。最後に、重要なポイントをまとめます。
押さえておくべき5つのポイント
①3ヶ月以上の休職は源泉徴収票からバレる可能性がある
年間給与総額の差から、人事担当者は給与の空白期間に気づきます。最も確実な対策は、自分で確定申告を行い、源泉徴収票を提出しないことです。
②面接で直接質問されたら正直に答える
虚偽申告は後々大きなトラブルにつながります。聞かれたら正直に、ただし前向きに答えましょう。「現在は完全に回復している」ことを強調することが重要です。
③休職理由までは詳しく話さなくてOK
休職していた事実が知られても、詳細な病名や治療内容まで話す必要はありません。個人情報保護の観点からも、詳細を聞くことは企業側もできません。
④バレた場合も、誠実な対応で信頼を取り戻せる
万が一発覚しても、正直に説明し、業務で成果を出すことで信頼を取り戻すことは可能です。嘘を重ねず、誠実に対応することが最も重要なんですね。
⑤最も大切なのは「今、働ける状態にあること」
企業が気にしているのは「過去の休職歴」ではなく、「今働けるか」「長く活躍してくれるか」です。医師の許可を得て、自信を持って「働けます」と言える状態になってから転職活動を始めましょう。
3ヶ月休職でも、新しいキャリアは築ける
休職経験があると、転職活動に不安を感じるのは当然のことです。しかし、適切な対策を取り、誠実に対応すれば、3ヶ月の休職歴があっても転職は十分に可能です。
実際、多くの方が休職を経て転職に成功し、新しい環境で活躍しています。休職は「失敗」ではなく、「自分を見つめ直す機会」だったと前向きに捉えることで、次のキャリアステップに進めるはずです。
最後までお読みくださりありがとうございました。











